森保JAPANホームでベネズエラ代表に歴史的大敗でブーイング
9月のパラグアイ戦以来、5試合ぶりとなった親善試合で1-4の大敗を喫した日本代表。
サブメンバーが主体で新戦力の発掘を目的にしていた試合とは言え、どちらかといえばチーム全体の構造的な問題が浮かび上がった試合でした。
報道では誰が悪かったというようなものが多いですが、だれか個人の出来が悪かっただけでは前半で0-4のような試合にはなりませんし、チーム全体の問題が起きたと考えるのが妥当かなと思います。
そこでベネズエラ戦で森保JAPANに何が起きたのか考察していきます。
大敗の原因は戦術に対応できなかったから
ベネズエラとは昨年に対戦して連勝が続いていた森保JAPANで初めて引き分けになった相性が悪い相手でした。
今回は昨年に引き続き相性が悪いベネズエラを呼ぶことでテストマッチとして有意義な試合にしたいという狙いがマッチメイクにはあったと思います。
サブメンバーが主体で初めてこのメンバーと合わせるという選手も多い中で、元々相性が悪かった部分をごまかすことが出来なくなり、なぜベネズエラには「自分たちのサッカー」をさせてもらえないのかという構造的な欠陥が露呈した試合でした。
ベネズエラの戦術は一枚上で対応する術を森保JAPANだけでなく、日本代表の選手も「こういう相手にはこうする」といったセオリーを共有できていない。
つまり、日本サッカー界全体としてベネズエラのようなサッカーにどう対処するのかという宿題が存在するということですね。
個人的には、なんとなく分かってはいた問題点がベネズエラによってはっきりさせてくれたというポジティブな考え方をしています。
個人能力の問題ではなく戦術の問題だということは、チームとして補うことが可能だという事ですし、真似をすることも可能だということです。
ベネズエラ代表が行うポジショナルプレーとは
これまでサッカーは4-4-2のような数字に当てはめて目安となるポジションを決めたうえで、それぞれが個別に状況判断をしてポジションを移動させるというものでした。
しかし、ポジショナルプレーでは状況や相手の出方に応じた動き方まで決まり事を作ります。
ポジショナルプレーの考え方は、サッカーという偶然性の強い競技を整理するうえで、フォーメーションのような静的に規定されたポジションだけではなく、動的に動き方を決めるということです。
ポジショナルプレーは、スペインサッカーが源流にあり現在マンチェスターシティのグアルディオラ監督が世界中に自身のスタイルを根付かせていく過程で出来てきたものです。
ベネズエラ代表のドゥダメル監督は黄金世代と呼ばれるユース世代を率いて結果を残し、A代表を兼任することになったので、スペインサッカーが源流にあるポジショナルプレーを完全に会得していて、ユース年代から徹底して教え込んだ世代がA代表になっているわけですね。
スペインサッカー界と連携して育成年代から改革を進めてきたという点においてカタール代表と共通点がありスタイルも似ています。
日本代表はカタール代表にもアジアカップ決勝で成すすべなく敗れているのでポジショナルプレー対策は急務ということです。
香川真司選手や岡崎慎司選手がスペインリーグにこだわり2部でもスペインを新天地に選んでいる理由もこのあたりにあるかなと個人的には予想しています。
本田圭佑選手は1部でのプレーにこだわったためにスペイン移籍は無くなったと本人が語っていましたが、引退後に日本サッカー界に指導者として関わるならスペインサッカーを学びたいという考えがあってもおかしくないですね。
それくらい日本サッカー界に足りないものがスペインにあります。
国内でも進んできたポジショナルプレーを導入するチーム
国内組主体で惨敗したので、やはりJリーグはダメというレッテルが張られかねないですが、Jリーグでこのようなサッカーをするチームがないかといわれるとあります。
横浜Fマリノスです。
上記の現在世界最高峰のポジショナルプレーを導入しているマンチェスターシティと提携関係にある横浜Fマリノスはモンバエルツ監督が戦術的な土台を作り、ポステコグルー監督が就任2年目で攻撃的なポジショナルプレーをするチームに昇華させています。
現在横浜Fマリノスは1位で最多得点で優勝争いの渦中にいますから、個人的には日本のサッカー界のためには横浜Fマリノスが優勝したほうが良いと思っています。
ちなみに、北海道コンサドーレ札幌のミシャ・ペトロヴィッチ監督は日本版ポジショナルプレーを作った監督といわれていて、森保監督にとってはサンフレッチェ広島コーチ時代の師匠筋にあたります。
そのミシャ・ペトロヴィッチ監督率いる北海道コンサドーレ札幌は、横浜Fマリノス戦だけシステムを変更してマンツーマンディフェンスにしています。
相手のポジションに合わせて担当を決めるとマークのずれは生じません。
マリノスのサッカーには敵わないというのがミシャの考えですし、ミシャの弟子のような存在の森保監督が準備期間が短い代表戦でベネズエラ代表に対して歯が立たなかったのも無理はないかなと思います。
今後、横浜Fマリノスのようなサッカーに対してどう対抗していくのかJリーグでは試行錯誤が続いていくでしょうし、横浜Fマリノスのようなポジショナルプレーをやろうとしているチームもヴィッセル神戸、セレッソ大阪があります。
日本サッカー界全体でポジショナルプレー対策を進める必要性がある。
インターネットによって知の共有が進み、グローバル化が人の交流を生んだことでこれまで国に閉じこもっていたそれぞれのノウハウが国を超えて積み重ねられて。さらに新しいモノが生まれるという好循環サイクルがヨーロッパでは進んでいます。
日本サッカー界は、これまでブラジル人を中心に国内にノウハウを浸透させてきた経緯がありますが、今後はブラジルだけではなくスペインを中心にヨーロッパから人材を呼んで学んでいく事が必要ですし、日本人監督がヨーロッパに出ていって学ぶという人ももっと増えていく必要があります。
しかし、ここ数年の日本サッカー協会の動きを見ているとジャパンズウェイなるものを目指していて、指導者が選手に対して指導をすること自体が良くないという自由放任主義と内向きな姿勢が目立ちます。
ヨーロッパの強豪国が外からの刺激をどんどん吸収しているのにもかかわらず日本が日本のサッカーで良いとなったら差は開いていく一方ではないでしょうか。
そして、森保監督の評価以前に日本サッカーがどこに向かっているのか非常に心配なので、どうかこの敗戦をポジティブな方向に進めていくように利用して欲しいですね。
最後に
今回は「森保JAPANホームでベネズエラ代表に歴史的大敗でブーイング」でベネズエラ代表に1-4で衝撃の敗戦を喫した日本代表についてまとめてみました。
個人的には、現在の日本代表は西野監督がロシアワールドカップで選手にマネジメントをかなり任せて自主性を尊重したチーム作りで成功したので、日本サッカー協会の方針のもとで選手にかなり任せるやり方でチームづくりを行っているように見えます。
0-4で折り返した後半に行った修正は前半から分かるようなものでした。
中島翔哉選手トップ下でアンカーに対してのマークをはっきりさせることと苦手なサイドでの守備から外すことでサイドに限定しやすくなりプレスがかかりやすくなるというものでした。
前半の途中から浅野拓磨選手がサイドになるなり、2トップが縦関係となるなどピッチ上で解決できるようになってもらいたいですね。