キルギス戦、ベネズエラ戦に向けた日本代表メンバー発表。A代表3分割の狙いを考察!
日本サッカー協会は6日、カタールW杯アジア2次予選キルギス戦(14日・ビシュケク)、国際親善試合ベネズエラ戦(19日・パナスタ)に臨むメンバー23人を発表。
キルギス戦後に一部の海外組9人が離脱し、ベネズエラ戦に向けて新たに国内組9人が加わる異例のチーム構成で2試合合計で31人を招集。
また、東京五輪世代のU―22代表コロンビア戦(17日・Eスタ)と合わせ、森保一監督(51)は6日間で3会場54人を招集しています。
それでは、招集メンバーを見ていきましょう。
11月14日キルギス戦のメンバー
▼GK
川島永嗣(RCストラスブール/フランス)
権田修一(ポルティモネンセSC/ポルトガル)
※シュミットダニエル(シントトロイデンVV/ベルギー)
▼DF
※長友佑都(ガラタサライSK/トルコ)
※吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)
※酒井宏樹(オリンピック・マルセイユ/フランス)
植田直通(セルクル・ブルージュKSV/ベルギー)
※安西幸輝(ポルティモネンセSC/ポルトガル)
畠中槙之輔(横浜M)
室屋成(FC東京)
佐々木翔(広島)
▼MF
山口蛍(神戸)
原口元気(ハノーファー96/ドイツ)
柴崎岳(デポルティボ・ラ・コルーニャ/スペイン)
※遠藤航(VfBシュツットガルト/ドイツ)
※伊東純也(KRCヘンク/ベルギー)
橋本拳人(FC東京)
中島翔哉(FCポルト/ポルトガル)
※南野拓実(ザルツブルク/オーストリア)
浅野拓磨(FKパルチザン・ベオグラード/セルビア)
※鎌田大地(アイントラハト・フランクフルト/ドイツ)
▼FW
永井謙佑(FC東京)
鈴木武蔵(札幌)
※はキルギス戦後に所属クラブに帰国。
まず東京オリンピック世代は17日コロンビア戦を優先させたので堂安律選手、久保建英選手、板倉滉選手は外れました。
また、冨安健洋選手は怪我の治療ため召集していません。
エース大迫勇也選手も怪我の状況を考慮して招集は見送り。
ですが直近のリーグ戦の試合ではフル出場していました。
東京オリンピックの出場を所属クラブのブレーメンに認めさせるために先に恩を売ったのかなと勘ぐってしまいますね。
代わりに前回の試合から代わって入った選手は佐々木翔選手、室屋成選手、山口蛍選手、鈴木武蔵選手です。
今回は戦力として外されたメンバーはおらず、東京オリンピック候補(B代表)との兼ね合いでメンバーを振り分けただけといえるでしょう。
不安材料は堂安律選手、久保建英選手が抜けた右サイドハーフが伊東純也選手しかいないところです。
伊東純也選手にアクシデントがあると原口元気選手が起用されると思いますが、左サイドハーフの代わりの選手が居ないという事態になります。
少しこの点でバランスが悪いチーム編成といえるでしょう。
FIFAランク94位ですが、2次予選で日本に次いで2位に対してのアウェーゲームなので重要性は高い試合といえます。
この試合で敗れると最終予選進出に黄色信号が灯る試合ですが、メンバーを落としていることはメンタリティー的に難しさがあります。
国際親善試合ベネズエラ戦(19日・パナスタ)のメンバー
キルギス戦後に所属クラブに戻る9人の代わりに招集されたのは古橋亨梧選手、オナイウ阿道選手、井手口陽介選手、進藤亮佑選手、荒木隼人選手、車屋紳太郎選手、三浦弦太選手、中村航輔選手、大島僚太選手です。
ディフェンダーは進藤亮佑選手、荒木隼人選手が3バックでプレーしていることを考えると3バックを使うのかなという印象。
森保監督は「限られた代表活動の中で、新たな選手を見たり戦術を指示する機会が今後出てくるのかなと」とコメントしています。
個人的にはこの試合は年末の国内組限定で臨むE-1(東アジア選手権)に向けた位置づけの試合でE-1では3バックの浸透をさせたいということと3バック中心の東京オリンピック世代の強化の場として活用したいという狙いが見えますね。
また、ベネズエラ戦は国際Aマッチデーなので、キルギス戦後に海外組を戻す義務はないですが、それでも9人を返すのはコンディションに対して配慮したいということと、来年の東京オリンピックへのオーバーエイジ枠での招集に対して所属クラブに理解を得たいという思惑が見えます。
ベネズエラ代表は昨年の11月に続いて1年後の対戦でその試合では1-1で引き分けとなっています。
FIFAランキングは26位で28位の日本とは同格の相手といえるでしょう。
ベネズエラは近年スペインサッカーの戦術を取り入れて育成年代で結果が出ていて、若手メンバーを中心に力があります。
日本代表はアジアカップ決勝で同じくスペインサッカーの戦術を取り入れたカタール代表に敗れているので、苦手な相手といえるでしょう。
9人が追加招集で森保JAPANでは5人が初招集です。
選手層の底上げや戦術オプションを狙いとした強化試合としては絶好の相手といえます。
B代表(東京オリンピック世代)コロンビア戦(17日)のメンバー
▼GK
大迫 敬介(サンフレッチェ広島)
谷 晃生(ガンバ大阪)
▼DF
板倉 滉(FCフローニンゲン/オランダ)
町田 浩樹(鹿島アントラーズ)
岩田 智輝(大分トリニータ)
原 輝綺(サガン鳥栖)
立田 悠悟(清水エスパルス)
渡辺 剛(FC東京)
▼MF
中山 雄太(PECズヴォレ/オランダ)
三好 康児 (ロイヤル・アントワープFC/ベルギー)
堂安 律(PSVアイントホーフェン/オランダ)
遠藤 渓太(横浜F・マリノス)
食野 亮太郎(ハート・オブ・ミドロシアンFC/スコットランド)
菅原 由勢(AZアルクマール/オランダ)
久保 建英(RCDマジョルカ/スペイン)
菅 大輝(北海道コンサドーレ札幌)
橋岡 大樹 (浦和レッズ)
田中 碧(川崎フロンターレ)
田中 駿汰 (大阪体育大)
▼FW
小川 航基(水戸ホーリーホック)
前田 大然 (CSマリティモ/ポルトガル)
上田 綺世 (鹿島アントラーズ)
森保監督はこの世代の現時点のベストメンバーと言い切りました。
安倍裕葵選手はバルセロナBでの試合を優先して代表招集は断っています。
冨安健洋選手は怪我。
杉岡大輝選手は湘南ベルマーレが降格争いをしていることを考慮して招集を見送ったと考えられますからこの3人以外はベストメンバーですね。
22人招集されていますが、東京オリンピックは登録18人で上記の3人がメンバー入りしてきて、オーバーエイジを3枠使った場合は、このメンバーから10人が外れることになります。
このタイミングで海外組を招集して、いよいよ東京オリンピックに向けてチームを固めていく段階に入ってきたということでしょう。
国内組は年末のE-1と来春のU22アジア選手権が控えていることを考えると今回は海外組を優先して起用するのではないでしょうか。
コロンビアU22代表も開催国である日本でプレーできるのは東京オリンピックに向けて良いリハーサルとなるでしょうし、国際Aマッチデーですからモチベーションも高く、良いメンバーで望んでくると思います。
代表3分割の狙い
今回、A代表を3分割(キルギス戦、ベネズエラ戦、コロンビア戦)したような編成となった理由についてまとめると
・東京オリンピックに向けて本気モードに入ったためU22組(B代表)はオリンピック世代に専念。
・キルギス戦は東京オリンピック世代のメンバー抜きで勝ちに行くため森保JAPAN初招集の選手はゼロで現在の主力選手中心で新戦力発掘よりも結果を取りに行く。
・ベネズエラ戦は新戦力の発掘と3バックを含めた戦術的な幅を広げる目的で初招集の選手を数多く招集。
の3つが理由として挙げられるでしょう。
今後の展望としては、年末のE-1で国内組のA代表の3バックシステムの落とし込みと国内組の東京オリンピック世代の強化を測ると予想します。
現在のA代表は4バックをメインに戦っていますが、今後は3バックをメインシステムで東京オリンピック世代は戦い、徐々にオリンピック世代がA代表に入っていく中でA代表でも3バックを併用できる状態にワールドカップ最終予選までには持って行くと思います。
森保監督にとっては、最も得意な戦術である3-6-1を使用しはじめてからが監督としての実力が試されることになるでしょう。
最後に
今回は「サッカー日本代表キルギス戦、ベネズエラ戦メンバーの狙いとB代表は」で森保JAPANの招集メンバーについてまとめてみました。
森保監督がオリンピック代表とA代表を兼任してこれまでA代表とオリンピック代表の垣根を越えてチームを作ることで強化を図ってきましたが、一方でオリンピック世代でベストメンバーを集まるのが今回が初めてで、オリンピック直前まで無い機会です。
キルギス戦に勝てるという自信があるのでしょう、この判断は良かったと思います。
また、キルギス戦後に9人が所属チームに戻るということは、試したい選手や戦術があるということだと思うので、このキルギス戦で何を試すかに注目ですね。
そして、A代表とオリンピック代表を混ぜながら強化してきたので、オーバーエイジ枠で東京オリンピック出場を希望している本田圭佑選手を招集することには違和感がありますね。
ロシアワールドカップで代表を引退した本田圭佑選手が東京オリンピックにこだわる理由は分かりませんが、加入が決まったフィテッセで得点という結果を出すしかないでしょう。