ジュビロ磐田の歴史~発足~初期~中期~現在
チーム発足から初期まで
1972年創部のヤマハ発動機サッカー部が前身となりJリーグ発足2年目となる1994年にチームが誕生しました。
チーム名「ジュビロ」はスペイン語で歓喜を意味します。
静岡県磐田市(人口16万人)をホームタウンとしていて、鹿島アントラーズの鹿嶋市の7万人に匹敵するJリーグトップレベルにホームタウンの人口の小さいクラブです。
しかし、歓喜の瞬間はチーム発足からそれほど時間がかかりませんでした。
1994年、元日本代表監督ハンス・オフト氏を招聘。
オランダ代表のファネンブルグ選手、ブラジル代表キャプテンのドゥンガ選手、ワールドカップ得点王のスキラッチ選手を獲得。
日本人選手の強みを俊敏性と技術水準の高さが生み出すコンビネーションプレーだと考え、日本人選手の扱いを熟知していたオフト監督。
元々、テクニック重視のサッカー王国静岡の土壌。
ワールドクラスの守備的ミッドフィルダー、攻撃的ミッドフィールダー、フォワードから影響を受けた日本人選手が化学反応を起こしてチームは大きな成長を遂げて、オフト監督が日本代表監督時代に実現したかったサッカーを具現化していきましたね。
1997年、Jリーグ初優勝を果たします。
年間MVPにはドゥンガが輝き、中山雅史選手、名波浩選手はベストイレブンに選出され、日本代表でも中心選手に成長しました。
その他にも藤田俊哉選手、田中誠選手、福西崇史選手、服部年宏選手、奥大介選手が日本を代表する選手に成長を遂げ、技術的に高く、賢い選手達が独自の連携を産み出して、黄金期を形成します。
1998年:ナビスコカップ、アジアクラブ選手権優勝
1999年:J1、アジアスーパーカップ優勝
2002年:J1、ナビスコカップ優勝
2003年:天皇杯優勝
とタイトルを多数獲得していきました。
鈴木政一監督時代のシステムは特徴的で3-5-2ですがサイドハーフを置かずに中盤は2枚のボランチ(服部年宏選手、福西崇史選手)と2枚の攻撃的ミッドフィールダー(藤田俊哉選手、奥大介選手)の4人の中心に名波浩選手を置き、サイドのスペース管理は選手のその場の判断に任せるという独自戦術を産み出します。
このシステムはN-BOXと呼ばれ、そのままのメンバーとシステムを日本代表に採用することを待望する声も多かったほど強かったです。
以降は、名波浩選手、中山雅史選手の怪我、高原直泰選手のヨーロッパ移籍などが原因でチーム成績は下降線をたどっていきます。
名波浩選手は当時のチームを振り返り、チームメイトと食事に行っては、サッカー談義を交わす仲だったと振り返っていること、当時のジュビロ磐田の元監督が他のチームでは結果を残すことが出来ていないことから、伝説となったジュビロ磐田のパスワークは選手間のコミュニケーションと中心選手との相性で成り立っていたと考えられます。
論理ではなく感覚だからこそ、論理で止められない爆発力があり、感覚でやっているので再現性が無く、失われると修復できない脆さがあったのがこの当時のジュビロ磐田の強さだったと思います。
チーム中期から現在まで
黄金期を経験したチームは選手の自主性を尊重すること、攻撃的で美しいサッカーをすることという黄金期に上手くいったやり方に固執することでうまくいかない時代が続きます。
現代サッカーでは、戦術的に細かくなり、一人一人がボールを持ち時間が少なくなっていく中で選手の判断でプレーさせようとすると、ミスが起こりやすいというデメリットが大きいという問題をなかなか解決できないチームといえるでしょう。
チームは技術が高い選手を揃えながらも中位から下位をさまよいつづけて
2013年にチーム初のJ2に降格。
2014年はシャムスカ監督が就任して松井大輔選手、ポポ選手など実力者がそろい、j2を独走するかに思われましたが、成績は伸びず、クラブのレジェンド名波監督が就任。
チームを立て直しましたが、昇格は果たせず4位に終わります。
2015年はジェイ選手、アダイウトン選手、川辺駿選手を獲得。
名波浩監督は持ち前のカリスマ性とコミュニケーション能力の高さを生かして優秀な選手を獲得。
力のある選手を見極めて、信頼することでチームは全盛期の主体性、連携力を取り戻して2位でJ1に復帰を果たします。
J1に昇格してからは、中位から下位が定位置となっています。
理由は、全盛期ほど選手の個人能力が他のチームと比較してJ1では高くないのと、個人能力を補完するだけのチーム戦術の強みも無いことです。
2017年に中村俊輔選手、2018年に大久保嘉人選手が加入してもその状態は変わっていません。
2018年はJ2降格の危機に瀕していますが、ジュビロ磐田が完全復活するには、名波監督よりも戦術的な指導ができる監督を連れてくるか、個人能力の掛け算でチームを作るタイプの名波監督で勝てるだけの選手を呼んでくるかのどちらか。
個人的には名波浩監督の参謀に優秀な戦術コーチを入れるのが良いと思います。