浦和レッズの2019シーズンの総括と今後の展望
2019年の浦和レッズは、シーズン中に鹿島アントラーズでJリーグ3連覇の実績を誇るオズワルトオリベイラ監督を解任。
大槻前監督が再び指揮を執りました。
アジアチャンピョンズリーグは準優勝という結果を出した一方でJ1は13位に低迷。
残り2試合で降格圏まで勝ち点差は4となっています。
降格する可能性は低いですが予算規模でJリーグトップクラスの浦和レッズにとっては厳しい状況ですね。
今回は浦和レッズの2019シーズンの総括と今後の展望についてまとめてみましたので
最後までご覧ください!
オリベイラ監督を解任しても成績は上向かず
2018年の浦和レッズはシーズン途中に就任したオズワルド・オリベイラ監督が下位に沈んでいたチームを浮上させて、天皇杯優勝を果たしました。
2シーズン目となる今シーズンは、オリベイラ監督のスタイルが浸透し、常勝軍団へと成長を遂げるという期待がありました。
しかし、4バックを希望していた指揮官にとって3バックで長年戦っていたチームのスカッドでは4バックに対応できるディフェンスの人材が必要だったはずです。
しかし、補強は横浜Fマリノスの山中亮輔選手のみ。
山中亮輔選手は左サイドバックとしては超攻撃的な選手で横浜Fマリノスでは偽サイドバックと呼ばれるボール保持時はボランチに移動する役割を担うなど、オーソドックスなサイドバックではなく、オリベイラ監督のチームには合いませんでした。
結果的には、4バックが得意の指揮官が4バックに対応できない選手を用意されて、チームは混迷を深めて中位に低迷しました。
その後、オリベイラ監督を解任してから大槻監督が就任するも、成績は上向きません。
浦和レッズの問題点は上記の4バック人材がいないことに加えて、3バックで攻撃するためのメソッドがないです。
システムは3-6-1、守備時に5-4-1となります。
後方からビルドアップする方法論がないまま、5-4-1と後ろに重たいシステムなので守備から攻撃に繋げることができずに攻撃は散発的となってしまいます。
これがアジアチャンピョンズリーグのような格上相手と割り切って戦うことが出来る試合では、攻撃にうまく繋げることが出来なくても自陣に引きこもって守りを固めて少ないチャンスをうかがうという弱者の兵法が効果的になるわけですが、Jリーグでは上位クラスの資金力があるビッククラブ。
まとめると今シーズンの浦和レッズは豊富な資金力を持つJリーグ有数のビッグクラブである浦和レッズに見合わないサッカーをしていたことが問題だったと感じます。
この問題は浦和レッズの黄金期を形成したミシャ・ペトロヴィッチ監督が変則フォーメーションの使い手で超攻撃的サッカーを標榜する天才で、2017年まで指揮をとっていたことから進化が出来ずに変化を試みるも失敗して結局は退化しているところにあるといえるでしょう。
大槻監督に託された仕事は戦術的にミシャ後の浦和レッズのスタイルを確立することでそれは、できる兆しすらない状態ですが、もうひとつの重要な仕事として世代交代が期待されていたと思います。
古株となった阿部勇樹選手、柏木陽介選手は出場機会が減少していますが、代わりに出場機会が増えた選手はファブリシオ選手、マウリシオ選手といった外国人選手。
橋岡大樹選手以外の若手選手は台頭しておらず、世代交代がうまくいっているかというと疑わしいですね。
大槻監督はシーズン途中の就任で無難にまとめたものの、チームの伸びしろは大槻体制からはまったく感じなかったです。
まさかの大槻監督来季続投へ
複数のスポーツ新聞で大槻監督の来季続投を浦和レッズがオファーしたことが明らかにされました。
関係者によると、11月15日までにクラブ側の希望を本人に伝えたとのことですが、残留を決めるまで回答を控えると報じられています。
残り2試合で降格するかどうかというタイミングで続投オファーを出すことには違和感がありますね。
また強化体制が一新されることも判明。
中村修三GMが退任し、浦和の前GKコーチで現在は社長付の土田尚史氏が後任の強化本部長に就くとのこと。
強化スタッフを刷新してチームを変革しようということなのでしょうが、土田尚史氏は強化部で働いた経験は無く素人同然ですが大丈夫でしょうか。
大槻監督はユースの指導者として現役時代から浦和レッズを支えてきた功労者でサポーターから組長と呼ばれて親しまれていますし、土田さんもクラブOBで人気があります。
しかし、両者共に、日本のトップクラブの重職に就くほどの実績はなくお友達身内人事と言わざるを得ないですね。
内容はボロボロでも、ACLの実績やファンのウケで続投を要請するという失敗は2017年にもしていて、低迷したのでオリベイラ監督を連れてきたわけですが、再び同じことが来季起こるのでは?と感じます。
アジアチャンピョンズリーグもJリーグでも今シーズンの浦和レッズで評価できる内容は個人的には皆無でした。
もし来季大槻監督が続投するのなら優勝争いをすることはないでしょう。
下手をしたら来季も降格争いか最悪降格もあり得るかもしれません。
大分トリニータの小塚和彦選手、オナイウ阿道選手(2019年レンタル放出)を獲得するという報道もありますが、チーム全体の問題が解消するわけではありません。
大槻監督が続投するとしたら興梠慎三選手に攻撃が依存している問題をどう解消するのかという問題が残りますね。
オナイウ阿道選手もポストプレーは得意ですし身体能力も高い選手ですが、やはり現状では興梠選手の控えに甘んじるでしょうから、シャドーでの起用が濃厚ですね。
興梠選手が浦和レッズで絶対的な存在である理由は守備時に5-4-1となりワントップが孤立した状態から単独でボールをキープして周りがポジションを高く移動するための時間を作ってくれることとペナルティーボックス内で動き出しの質の高さがあり、一人でマークを外してシュートを決めることができることです。
ワントップが孤立することが浦和レッズの悪癖ですが、ワントップの興梠選手がその問題を個人能力で解消してくれるわけですね。
しかしながら、個人能力に依存したチームが安定した結果を出すことは困難ですので、そもそもワントップが孤立する問題を解決しなければ興梠選手依存問題が無くなることはないでしょう。
そして、大槻監督がこの問題を解消できるとは思えませんね。
最後に
今回は「浦和レッズの2019シーズンの総括と今後の展望」で浦和レッズの2019年シーズンを振り返ってみました。
アジアチャンピョンズリーグとJリーグで両極端な結果が出ていて、二つの顔を見せるなどといわれていましたが、準優勝したアジアチャンピョンズリーグでも内容的にはひどい試合が多くて運があってたまたま勝ち上がっただけだったと思います。
カップ戦の結果というのは水物で強いチームがいつも勝ちあがるというわけではないですから、アジアチャンピョンズリーグの結果を過信しすぎないほうが良い気がしますし、大槻監督の続投も個人的には理解できません。
そして、チームはアジアチャンピョンズリーグをJリーグよりも優先してタイトルを取りに行きましたが、優勝は出来ずに終わりました。
このチームはアジアチャンピョンズリーグを2年前にも優勝していますが、スポンサー企業の顔ぶれは変わらないままでアジアチャンピョンズリーグというアジア経済との接点を作ることが出来る大会で2度の優勝を誇りながらも、資金的には何も利益を得ることが出来ていないという点で経営面でも何をしたいのかわからないですね。
Jリーグ屈指のサポーターに愛されるチームがこのように保守的な運営を続けて少しずつ落ちていく様子をみるのはつらいものがあります。
何とか変わって欲しいですし、もっとポテンシャルがあるチームなので今後に期待したいですし残り2試合が楽しみです。